最近すっかり映画館にご無沙汰の私が、珍しく劇場で観た作品です。
感想を書きたかったんだけど、公開中はこれから観る人に余計な先入観を与えちゃマズイかな、と我慢していました。
先日ビデオ&DVD化されたことですし、そろそろいいですか。
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千鳥の例(親千鳥が怪我を装って敵の注意を引きつけ、ひな鳥を守るというあれ)を出すまでもなく、親が子を身を呈して守るという場面にはよくお目にかかりますが(最近はそうでもないか‥)、子供の方も実はそうなのではないかと、映画を観ていて気がつかされました。
親が本当に窮地に陥った時、小さな子供って親が思う以上に親のために必死に何かしようとするものなのかもしれません。例えどんなにひどい親であっても、です。
これは自分の子を見ていて感じることでもあります。君たち、私はこんなにダメ人間なのに、どうしてそんなに慕うんだい?と。
豚になったのは親の勝手、千尋が止めたのに食べ物につられる二人が悪いよね。
そんな両親を助けるために、千尋はあんなに必死に働き、知恵を絞り、勇気を出して冒険し‥なのにラスト、肝心の二人はそのことにぜんぜん気がついていないんです。
よくやったね、ありがとう、の一言もない。現実なんてそんなものなのかもしれません(もちろん、薄っぺらなハッピーエンドよりこの結末の方がよっぽど良かったんですけど)。
でも、千尋は確実に成長しました。スクリーンのこちら側から「良く頑張ったね」と声をかけてあげたい気分でした。
そうやって気持ちが高まっているところにエンディング、あの木村弓さんの名曲「いつも何度でも」が流れます。泣けました。
もし私が豚になったら、我が家の子供たちは親のために必死に働いてくれるかな(見捨てられたりして(がーん))。
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前半の頼りなさげな千尋はなかなかいい感じでしたが、途中の展開はちょっと首を傾げた箇所も。
カオナシが金を差し出した時、千尋は何の躊躇もなく受け取ることを断ります。何故断ったのか、どうもその根拠がはっきりしないんですよね。何だかいい子過ぎやしないかい?
どれだけ働けば豚になった親を救えるのか、こちらもどうもはっきりしない。
湯婆婆は欲深そうに見えますが、その辺のけじめははっきりしている人に思えました。最初に契約した時、これだけ働いたら幾ら貰えて、総額幾らになったら望みを叶える、でもズルをしたら振り出しに戻る、とかの条件が提示されていたら、その後の行動も説明がつくのになあ。
金のために働くのは卑しいこと、という感覚なのでしょうかね。
ハクの正体にしても助ける方法にしても、もう少し伏線があったらなあ。時間枠的にいっぱいいっぱいだったのかもしれませんけどね。
ファンタジーって、何でも思うように事が運ぶご都合主義とは違うでしょ。その世界でしか通用しないことであっても、一本筋が通っていないと面白くならないと思うのですが、いかがなものでしょうか。
美術は素晴らしかったですね。油屋の派手派手しい造型はため息もの。それから、海の上を走る電車にもシビれました。CGを使った部分は、ちょっとそうでない部分と乖離しちゃってたとこもあったな。あういう技術は、どこで使ってるか判らないってのが理想でしょうね。
キャラはカオナシがとっても好き。あういう、善だか悪だか判然としない存在は、アメリカ人にはイマイチ受けが悪いんだそうな。でも私はとても親近感を覚えました。日本人で良かった(^^)。
女性陣に人気の美少年ハクは、あんまり印象に残らなかったです。
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DVD、特典部分はいらないから半額にしてくれないかな、なんて。
「千と千尋〜」のDVDソフトと特製プレイヤーが当たるというネスレの懸賞に応募するべく、アイスコーヒーを一所懸命飲む毎日であります(笑)。
(2002/8/05)
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