賞 の 選 び 方

 昨年末から今年にかけてのミステリベスト10や各賞は、特定の作品(歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』)に集中した感がありますが、皆さんどう思われましたか?トロフィー

 政宗九さんがご自分のサイトでの企画「インターネットで選ぶ本格ミステリ大賞2004」の中で、「もう既に世評の高い『葉桜』はあえて(選ぶ時)外す、少なくとも私はそうでした」と書かれていて。その箇所を読んで「え?」とひっかかったんですよね。
 純粋に、良いと思った作品に投票する、そうじゃないの? 作品そのものの善し悪しとは関係ないそういう心遣い(?)って、どうなのよ。

 こんなこともありました。『ミステリ・オペラ』が本格ミステリ大賞をとった時、「こんな敷居の高い作品が大賞とったんじゃ、本格ミステリの普及に繋がらない」と書いてた人(一般人)がいて。「なんじゃそりゃ〜」とその時は否定的に思ったんですよね。ところがあにはからんや(死語?)、翌年全く同じような観点から『GOTH』を選んだ本格ミステリ作家クラブの会員さんがいて、「あれれ、そういう考え方って意外と一般的なの?」って、よくわからなくなったのです。

 なんか政略的というか。個人的にはそういう選び方ってどうも相容れないのです。ですが‥

◆◇◆

 新聞広告に「『葉桜〜』11万部突破!」って書いてあったのを見て、もちろん『葉桜〜』が良い作品だから売れたわけだしそれは嬉しいんだけど、例えばうちの近所の本屋では本格ミステリ・マスターズなんて新刊時でも1冊棚に置いてくれるかどうかなのよね。端っから売る気がない。それがベスト1やら賞やらをとった途端に平積みだからねえ(ため息)。
 こうした「冠」が売り上げに直結するのを目の当たりにすると、できるだけ多くの作品に売れるキッカケは与えられた方がいいようにも思えてしまうんですよね。今年は協会賞のもう一作『ワイルド・ソウル』も大藪春彦賞と吉川英治文学新人賞とって三冠なんて云われてるし、賞が集中ちゃってもったいなかった(売れるきっかけを独占しちゃったから)のかなあ、とちらっと思ったのでした。ううむ、難しい。

 要するに出版不況がいけないのかも(強引な結末だなあ(笑))。賞なんか関係なく、良い本がどんどん売れる下地があれば問題ないのかもしれませんね。

(2004/5/31の日記と有栖川探偵小説事務所掲示板の書き込みより)

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