mihoroの読書記録(2000年)

2000年に読んだ本の中で、面白かったものを並べてみました。
あらすじは敢えて書いてありません。本の裏表紙などに書かれているものを参考にして下さい。
ネタバレはしてませんのでご安心を。
こうやって見ると、今年出版されたものは少ないなあ(もっとも、再読も多い)。
書名の五十音順に並んでいます。


■『火車』宮部みゆき(新潮文庫)

 カード地獄を題材にした小説と世間一般では云われていて、確かにそうなんだけれど、もっと奥は深いと思う。作者自身が言っていた「一人の人を探して探して、やっとたどり着いたという話」という説明が一番しっくりくる。力作。

■『風が吹いたら桶屋がもうかる』井上夢人(集英社文庫)

 各章のタイトルが内容と全然関係ないのが面白い。「良質のシチュエーション・コメディー」と解説にあるが、まさにそんな感じ。

■『競作五十円玉二十枚の謎』アンソロジー(東京創元社)※2000年11月に文庫化

 ものすごく豪華なアンソロジー。法月さん、有栖川さんを始め、一般の公募で選ばれた作品も。一番のお気に入りはデビュー前の倉知さん(佐々木淳名義)の一編だったりする。

■『殺人!ザ・東京ドーム』岡嶋二人(光文社文庫)

 この犯人像、ちょっとサイコはいっててゾクゾクさせられた。ラストもいい。

■『淋しい狩人』宮部みゆき(新潮文庫)

 イワさんと孫の稔との交流が微笑ましく、心暖まる物語。

■『屍蝋の街』我孫子武丸(双葉社)

『腐蝕の街』の続編。ハラハラドキドキがたまらない。ああ、三作目が早く読みたい。

■『夏と花火と私の死体』乙一(集英社文庫)

 死体の視点というのが実に不思議な味わい。はらはらして、ドキドキして、どこか懐かしくて。結末は意外な展開。

■『七回死んだ男』西澤保彦(講談社ノベルス)※とっくに文庫になってます

 SF的な設定でも、その中でしっかり本格ミステリしている。一生懸命な主人公に好感が持てた。

■『人形はこたつで推理する』『人形は遠足で推理する』『人形は眠らない』
  我孫子武丸(講談社文庫)

 このシリーズ、大好きです。おむつと朝永さん、そして鞠夫のほのぼのラブ・コメディー(あれ、ミステリだっけ?)2001年は続編が一冊に纏まりそう。乞うご期待!

■『ハサミ男』殊能将之(講談社ノベルス)

 やられた。真相は見えているのに気付かない、そんな巧妙さに脱帽。淡々とした文章も好ましい。

■『パズルゲーム・はいすくーる』野間美由紀(白泉社文庫)

 連載中の「花とゆめ」も、コミックスも読んだ世代だけど、改めてそのミステリ度の高さに感心させられた。しかし、こんな高校、よく考えたよなあ。

■『バトル・ロワイアル』高見広春(太田出版)

 冒頭のプロレス会場の語り口で早くも「これは面白いぞ」と予感した。生徒の数だけ物語があり、設定も実に巧妙に考えられている。まさにエンターテイメント。途中で読むのを止められなくて、夕飯を作りながらも台所で読んでいた私。

■『パワー・オフ』井上夢人(集英社文庫)

 出だしのドリルのシーンから引き付けられる。コンピューター関係に造詣の深い作者ならではの力作。

■『百器徒然袋−雨−』京極夏彦(講談社ノベルス)

 この淀みない絶妙のテンポの文章たるや、惚れ惚れする。そして、榎木津の刀乱麻の活躍!「うううん。善く寝た。さあ仕切ろう」「あ、あんたはいつかの何とか云う人!」面白過ぎます、エノさん。

■『封印再度』森博嗣(講談社文庫)

 森さんが不特定多数の読者を想定して書かれた最初の作品(前の四作は、デビュー前に書かれたもの)。明らかに読みやすくなっていて、感心した。萌絵と犀川の関係の進展がメイントリック、と森さん自身がおっしゃっていた意味がやっとわかった。思わず叫んじゃいましたよ、私は(笑)。あー、面白かった。

■『腐蝕の街』我孫子武丸(双葉文庫)

 どうしてもっと世間で話題にならないのだろう、こんなに面白いのに。近未来が実にリアルに描かれているし、登場人物も魅力的。第三弾の予定もあるとか。

■『冬のオペラ』北村薫(中公文庫)

 おーなり由子さんの表紙が好き(おいおい)。内容も、くすっと笑いあり、もの哀しさありで心に残った。

■『星降り山荘の殺人』倉知淳(講談社文庫)

 騙された。いやあ、見事にかつがれた。
 真相が分かった後の犯人の豹変ぶりがちょっと嫌だったけど。

■『まどろみ消去』森博嗣(講談社文庫)

 森ミステリが肌に合うかどうかが分かる、リトマス試験紙のような短編集。私は大好き。
 可能性が目一杯詰まった、バラエティに富んだ作品集。それでいて、どれを取っても森さんの作品でしかあり得ないと言う自己主張の強さを感じる。一度に読んじゃうのがもったいなくて、一日一編ずつ読んだほど。

■『名探偵に薔薇を』城平京(創元推理文庫)

 「メルヘン小人地獄」に始まる第一章もいいけど、身を切られるように切ない第二章が特にいい。

■『魍魎の匣』京極夏彦(講談社文庫)

 『姑獲鳥の夏』の時は「ほお〜」と思ったが、この作品は「凄い!」と感心した(もっとも、綾辻さんは『魍魎』より『姑獲鳥』がお好きらしいけど)。
 箱の中の娘、箱のような男、箱のような研究所、そして‥。様々な「箱(匣)」が織り成す物語の構成の妙に脱帽。

■『夜歩く』倉知淳(メフィスト(講談社)掲載)

 私はこの短編で倉知さんに出会った。ユーモアのセンス、テンポの良い文章がとても好み。前半、次々と電報が届くくだりが特に秀逸。

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