漫画『特別料理』について

 綾辻さんも大のお気に入りの児嶋都さんによる漫画化。『眼球綺譚』『再生』に続く第三弾!

 前二作は読み逃していたので、今回初めて児嶋さんの作品を読んだ。なかなか良かったですよ。

 正直云って絵柄はちょっと古い感じ(わざと狙ってるのかもしれないけど)。可菜の髪型は巻き貝みたいだし、咲谷氏は喪黒福造みたいだし(別にいいんだけどね)。でも、児嶋さんってもっともっと上手くなる可能性、将来性を秘めた方なんじゃないかとも思った。

 ストーリーは、原作にとても忠実で好感が持てた。もともと、ホラーというよりはコミカルな味わいもある作品。登場人物は皆幸せな気分でいて、最初の可菜以外は誰も怖がってないし(笑)。ゲテモノ喰いに目覚めた時の感覚を、どーんと砕け散る大波で表現した所なんか、可笑しかった。

 と同時に、学生時代のエピソードを後ろに持って来るなど、独自の演出もあって、より効果を上げていた。ラストも工夫されていたし。
 原作では延々と記述されていた数々のメニューが、ページの関係からかそれほど登場しなかったのは残念だったけど。

 しかし。ここは原作に勝ったなと思わせたのは、店主、由伊が手袋を外すシーン。
「私は息を止め、目を見張った。両手合わせて十本あるはずの指が、右に四本、左に三本しかないのである」
と、書いてあるのを読むのと、

 指が欠損した手を、アップで見せられる

のとでは、後者の方がやはりショッキング。
 映像の「ずるさ」を実感した。

 とまれ、『眼球綺譚』に収められた他の作品群も、今後漫画化されるのであろうか? だとしたら大変楽しみである。

(2000/9/19)

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