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 Ayalist 2006年9月の日記(後半)

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9月16日 

綾辻さん、今月末に訪台予定。座談会が行われるようです。著者プロフィールに「麻雀名人位」のことまで書いてあるのはお国柄?(笑)

9月17日 台湾に行くんじゃ、飛行機に乗らなくてはいけませんね。綾辻さん、覚悟召されよ(笑)。

▽ よしだまさしさんの日記(9/16)に、二階堂さんの日記に関する記述が。とても良く分かるんだけど、なかなかこう「スパッ」と割り切れないのが現実なんじゃないかなあ。各人の本格ミステリ観がバラバラな中で、投票やらベスト10やらやっても‥と思う人もいて当然だけど、結局はそのバラバラな本格観を互いに尊重しあうことが大事なのではないかと。ほら、「ユートピア」ですから。『容疑者X〜』を本格だと思う人、そう思わない人、両方いたって構わないし、議論するのもいいけど無理に決着を付ける必要はないと思うのです。

『邪魅の雫』9月19日予約開始。もれなく『講談社ノベルス京極夏彦全作品解説書』がもらえるそうです。

9月18日「テルーと猫とベートーベン」を繰り返し聴く日々。歌が素晴らしいのはもちろんのこと、編曲も最高。♪そんな紅マグロ〜♪

▽ フクさんが9/17の日記で面白いことをやっていらっしゃいます。「本格ミステリ・ベスト10、作者別ランクイン冊数リスト」。芦辺さんすごい! 一番ショックだったのは「綾辻行人の名前がどこにもない〜」(><)。どんどん橋も暗黒館もベスト10上位に入ってはいるんですけど、10年間でこの二冊だけなんですね(『最後の記憶』はホラー系だから)。倉知さんより出した本が少なかったとは(それは倉知さんに失礼です(笑))。

9月19日

▽『J・D・カー生誕百周年記念オリジナルアンソロジー(仮)』(東京創元社)の執筆予定者(敬称略)。芦辺拓、加賀美雅之、小林泰三、桜庭一樹、田中啓文、柄刀一、鳥飼否宇、二階堂黎人。Wikipediaによると、カーの著作ってクリスティーなんかに比べるとそんなにたくさん数があるわけじゃないんですね(実はたくさんあるんだそうです、たまたまWikiに載っていなかっただけで。これくらいの数だったら全部読めるなあと思ったのもつかの間、しょぼん)。そういえば、昔買ったミステリマガジンのカー特集号がどっかにあったぞ。倉知さんの「うわあい」エッセイが載ってるやつ、ええとええと‥(ごそごそ)。

▽ 次男くん(今日は土曜の運動会の振り替えで学校お休み)と動物園へ。子ヤギが放し飼いになっている場所があったのですが、ヤギって跳ねるのね。子供の腰より高い柵の上とかにぴょんっと跳び乗ってエサをねだって可愛いの。そういえば『アルプスの少女ハイジ』のヤギたちも岩場を跳ねていたような。

9月20日「“ばんそうこう”何と呼ぶ?」。たしかに私は「バンドエイド」派。

 パノラマ党の演劇公演「探偵アリス」に、綾辻さんと有栖川さんが応援コメントを寄せられています(りほさん情報)。パノラマ党といえば、映画『B』のDVD化はどうなったのかしら‥。(あ、「探偵アリス」こちらのチラシも魅力的。)

9月21日「京都大学未来フォーラム(第24回)綾辻行人講演会」本日18:15から。

 いらした方、レポよろしくお願いします一言でもいいので、掲示板に書き込んでもらえると嬉しいな。

9月22日 谷山浩子さんコンサート「猫森集会2006 Aプロ2日目」レポ書けました。

▽ 昨日の講演会、情報くださった皆様、ありがとうございます。ざっとまとめるとこんな感じかな。
(名張のAさん、benihaさん、monstreさん、【情トラ】附゛録゛、参考にさせていただきました、どうもありがとう)
・講演前に綾辻さんがミス研の部室をのぞいたら、学生たちは麻雀をしていた。(笑)
・京大志望の理由は、ミス研があったこと。当時はネットもなく、周りに濃いミステリ話ができる仲間がいなかった。
・ミス研で初めて発表(1979年)した作品は「Pの悲劇」(Pとは京大教育学部のこと)。11月祭開催中に,教育学部学舎で起こった殺人事件を描いたもので、犯人当て正解率は九割。たいそうショックを受け、いまだにトラウマになっている。
 フォーラムの司会者から「教育学部のお宝として、ぜひその原稿を寄贈いただければ」との申し出があったが、綾辻さんは「門外不出です」。
 ちなみにその後、部内で発表した犯人当て正解率は、二作目は八割、三作目では一割以下と、年々上達。
・四回生の時に体調を崩して留年を決意。ここが運命の分かれ目に。「四年で卒業していたら、何も起きなかっただろう」。この年に「追悼の島」という作品で乱歩賞に応募(デビュー作『十角館の殺人』の原型)。落選したが、応募したことに満足していた。
・五回生の時に法月綸太郎さんと我孫子武丸さんがミス研に入部。いわば「ときわ荘」のような環境が生まれ、作家志望熱が一気に高まった。先輩の巽さんがよくアドバイスをくれた。「現在、日本一のミステリの評論家です」
・デビューに至る二人のキーパーソンは島田荘司さんと宇山日出臣さん。

「本格ミステリ」とは
・謎と論理的解明を主軸とする小説。エドガー・アラン・ポウに始まり、日本では横溝正史や高木彬光がその代表格。
・「本格」に該当する表現が本家の欧米にはなく、日本独自の表現だと思われる。
・ある意味絵空事、荒唐無稽な本格ミステリに対し、昭和30年代に自然主義的リアリティを主んじる作品を発表したのが松本清張。この清張式のリアリズムが以後支配的になり、反リアリズム的な本格ミステリは冬の時代を迎える。

「新本格ムーヴメント」とは
・宇山さん曰く「出すことによって何か起きるんじゃないかと」。『十角館の殺人』が、社会派式リアリズムが偏重されがちな風潮に違和感を抱いていた同世代に受け入れられ、法月さん、我孫子さんらも次々とデビュー、ミステリ界の流れが変わった。さらに東京創元社から有栖川有栖さん、北村薫さんらも続き、その流れは確固たるものになった。
・「新本格」の名称は『水車館の殺人』帯がきっかけ。「当時は抵抗があった。でもラベルがあれば売りやすいから」
・かつての本格ミステリにホラー、SF、幻想小説のジャンルまで取り込んだ、現代ならではのハイブリッドな作品も出てきた。
・メタフィクション、叙述トリックも新本格の特徴。
・社会派やトラベルミステリー(量産ミステリ)へのアンチテーゼでもあったかと思う。
・2000年には本格ミステリ作家クラブが設立。

百人百様の本格のユートピアがあってよいと思う
・京大ミス研が、日本のミステリ界を変える土台の役割を果たしたということを、今日皆さんに知っていただければ幸い。

質疑応答
・江戸川乱歩の作品の及ぼした影響は。
──最初は少年探偵団。ドキドキワクワクの連続だった。その後『吸血鬼』『地獄の道化師』などのいわゆる通俗長篇を読んだ。自分にも犯人がわかる、その感覚が楽しくてはまった。「これなら僕にも書けると思った」
 決定的な作品は『孤島の鬼』。ガチガチの本格ではないが、『パノラマ島奇談』とともに怪奇幻想の影響を受けた。
・「カンヅメ」の経験はあるか。そこでトリックは生まれるか。
──何度もある。ホテルの一室に軟禁状態にされて(費用は全て出版社持ち)原稿を書くのだが、別に編集者が見張っているわけではないので、中には逃げ出す作家もいるようで。自分はプレッシャーと申し訳なさから、原稿を書いてしまう。トリックは前もって考えてあるので、執筆そのものに苦しむ。
・団塊の世代から見ると、今の人たちの作品は人生経験の裏打ちのない人工的な作品と感じるのだが(この人の質問がえらく長かったらしい)。
──経験値だけでミステリを書いてもつまらない、頭の中での作業は要る。いつの時代も世代間のギャップはあり、自分もつい「最近の若い人は‥」と云ってしまいがちだが、そう云わないことがクリエイティブな作業には必要だと思う。
・ドクターまで取ったのはミステリに関係あるのか。
──四回生までは麻雀三昧で真面目な学生ではなかった。五回生の時、助手の人に勧められて院に。原稿を書いていても咎められないし、専攻の犯罪社会学・逸脱社会学はミステリに役立つだろうとも思った。小説家は売れるか売れないかギャンブルなので、売れなかったらこちらに戻ろうとも。
・一番苦労した作品とその理由を。
──2004年の『暗黒館の殺人』。「僕にしか書けないという自負はあるが、もうあんな苦労はしたくない」

9月23日 青猫さんによる、京都大学未来フォーラムのレポ。綾辻さんの話し声が聞こえてくるようです。

「昨日公園」ドラマ化みゅうさん情報)。昨日公園というと「薄汚れた格好で、涙をこらえている須賀健太君」が頭に浮かぶのですが、何ででしょう? ドラマはだいぶ設定が変わっているような。

『邪魅の雫』大磯・平塚地区限定特装版。私は買いません、京極作品に関しては文庫派ですから。一冊が分厚いので、場所を取るったら(笑)。陰摩羅鬼を置く場所を作らないと。

▽ 桜庭一樹『少女七竃と七人の可愛そうな大人』(角川書店)読了。ナナカマドの樹のトリビアが一番心に残りました(おいおい)。文章も物語も、もう少し練られているほうが好みだな。

9月24日 祝、ダリアの日。

▽ 坂木司『仔羊の巣』(東京創元文庫)読了。市井の人々のちょっといい話は、宮部みゆきさんあたりのほうが遥かに上手いけど、謎と解決、その見せ方がわりと好き。キャラについては特に何も。

9月25日 推理作家協会報9月号。記事が少ないなあ。

▽ 光文社の方も先の講演会にいらしていたんですね。『贈る物語』文庫化は、7月の講演会の時も、綾辻さんおっしゃっていました。文庫は「九つの謎宮」という副題がつくようです。

▽ 大虐殺、といっても一人囃子さんのブログですので笑える記事ですご安心を。これって、やる書店とやらない書店とありません? 私もこの現場に出くわしたことがあります。「それ捨てちゃうんですか? だったら、ください」と、もらったこともあります(笑)。

9月26日 ネット時代の作家像。文学的価値と商品価値、必ずしも一致しないから難しいのかな。

「島田荘司さん ミステリーへの思い」。この記事で注目すべきは、「『X』(=『容疑者Xの献身』)は小説として面白いし、本格の範疇に入る」でも「(笠井潔氏の)批判にも共感する」でもなく、本格ミステリーの危機(本当にそうかどうかはともかく)を、自分が作品を書くことで救おうとしている、その姿勢だと思います。カッコイイ!

9月27日 Ayalistを始めてもうじき丸六年、あちこち修正中であります。10月からは7年目だよ〜ん。

9月28日

▽ メールソフトの送信機能が使えなくなってしまったため、ブラウザからメールを送っているのですが、From欄が何故か「みほろさん」という設定になっていて。自分で自分に「さん」つけるなよ。えーん、最近私からのメールを受け取った皆さま、お恥ずかしい限りです、どうか忘れてやってください。

▽ 綾辻さんはいつ日本を発たれるのかしら。鼎談のお相手の一人、既晴さん、こちらでは「台湾クーンツ」「狂氣と幻想に彩られた作風を得意とする既晴氏と綾辻氏は非常に相性が良いと思う」なんて書かれていますね。そうそう、話は変わりますがこのtaipeimonochromeさんによると、「綾辻ファンも『島田荘司全集I』の月報に目を通されることを強くオススメいたします」だそうです。

▽ 二階堂さんは何故、ネット上でわざわざ、名指しの批判をやるんだろう。最終的にはどうしたいんだろう。よう分からん‥。

9月28日(その2) 過去ログ整理してたら、アップし忘れていた画像発見。

微妙に違う『殺人鬼』  そりゃ違うってば『殺人鬼II』

9月29日 綾辻さんは、昨日台湾へと出発されたようです(taipeimonochrome 情報)。お元気かな、飛行機大丈夫だったかな。

29日 14:30〜 記者会見(台北晶華酒店)<お酒屋さん?(笑)いえいえ、一流ホテルです
30日 14:30〜16:30 『殺人暗黒館』(台湾版『暗黒館の殺人』)刊行記念 座談会
    綾辻行人×傅博×既晴(誠品書店信義旗艦店3樓 Forum)

▽ 大沢在昌×京極夏彦 合同サイン会&ミニトークショー(大極宮情報)。
[東京]10月28日(土)14:00〜15:30(予定) 会場:講談社講堂
[大阪]10月29日(日)13:00〜14:30(予定) 会場:ホテル阪急インターナショナル
 各会場200名ずつ、計400名をご招待‥っていうか、抽選なんですね。倍率めちゃ高そう。
 応募は大極宮HP内の専用フォームから。締切は10月10日15:00です。
 私?行けませんよ、だって名張行くもん(^^)。

「伊坂幸太郎の巻 予見できない奇妙な読後感」(読売新聞)。作者の言葉が、すごくイイな。

▽ 海燕さんの日記を読んで──自分のことに置き換えて、いろいろ考えてしまいました。Ayalistは一応「ミステリサイト」の範疇にあるとは思うのですが、管理人はミステリに関しては明らかに「薄〜〜いファン」、そもそも読書量自体が少ない、サイトを開いた当初から「すみませんすみません、ミステリちっとも読んでなくてすみません」と(被害妄想かもしれませんけど)肩身の狭い思いをし続けていたのでした。だったら読めばいいじゃん、それはそうなんですけど、私の場合「趣味:読書」というよりは「趣味:綾辻さんの小説」だからなあ。6年経っても積読が増えるばかり、薄いファンである状況はちっとも変わりません。
 とは云え、6年間ひとつのことを続けているとそれなりに成長するものですね。今年はAyalistにとってある意味転機の年だったかも、と思う今日この頃です。

▽ 太田忠司『忌品』(トクマノベルス)読了。文章はイメージに頼らない冷静さがあるのに、ストーリーはどこか不条理、不安定。後半に行くに従ってその「腑に落ちな」さが魅力に思えてきました。色っぽいシーンもけっこう上手いんだなあ、太田さん。

9月30日「綾辻行人 in 台湾」の記事・ブログ・掲示板など、見つけた方はぜひ教えてね。よろしくお願いします〜。

『ウロボロスの純正音律』刊行記念、竹本健治さん&喜国雅彦さん合同サイン会 in TRICK+TRAP。発売後に云わないでくださいよ戸川さ〜ん、もう買っちゃいましたよ〜(涙)。あ、でもサイン会の日にちが10月28日。じゃあどっちにしろ行けないや、だって名張行くもん(^^)。

 

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