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 Ayalist 2009年2月の日記(後半) 

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2月16日 

第9回本格ミステリ大賞の候補作が決定しました。(タイトル50音順)

【小説部門】
『完全恋愛』牧薩次(マガジンハウス)
『裁判員法廷』芦辺拓(文藝春秋)
『造花の蜜』連城三紀彦(角川春樹事務所)
『ペガサスと一角獣薬局』柄刀一(光文社)
『山魔の如き嗤うもの』三津田信三(原書房)

【評論・研究部門】
『幻影城の時代 完全版』本多正一編(講談社)
『探偵小説のクリティカル・ターン』限界小説研究会編(南雲堂)
『「謎」の解像度』円堂都司昭(光文社)
『本格ミステリ・フラッシュバック』千街晶之ほか(東京創元社)
『密室入門!』有栖川有栖×安井俊夫(メディアファクトリー)

うわ、一冊も読んでない(苦笑)。我ながら珍しいのは、評論部門の『幻影城〜』と『密室入門!』を持ってること(読んだ、ではないのがスミマセン。しかし候補に『幻影城〜』が入るのは、なんかズルいというかなんというか)。連城さん、牧薩次さん、二人も大御所が入ったのは嬉しいねえ(思い返せば、第一回の候補作には泡坂さんの『曾我佳城〜』があったんだよなあ(しんみり))。ここに若い道尾さんの『ラットマン』が絡めば、もっと個人的には面白かったのですが。三津田さんのこのシリーズはすっかり常連。柄刀さんが四年連続で候補になってることも、もの凄いですね。さあ、五月の開票式までに小説部門五作は読むぞ。がんばるぞ。

背景画像は「いっしょにつくったら」です。

2月17日 

こんな企画があったんですね、見逃してました、「乙一小説再生工場」。うーむ、発想の段階からまるまる乙一、って小説をこそ読みたいけどなあ、私は。

こんなすごい本が出るそうです(2/20発売)。『都筑道夫ポケミス全解説』(パン屋のないベイカーストリート)。
 

2月18日 

米澤穂信さん『秋期限定栗きんとん事件(上・下)』(創元推理文庫)刊行記念サイン会(情報元:流星通信)。3月20日(金)14:00から、星野書店近鉄パッセ店(近鉄名古屋駅真上 近鉄パッセ8F 052-581-4796)にて。要整理券、先着100名、上巻発売日(2/27予定)より配布開始、サインは上下巻のどちらかに為書き入りで、当日の撮影・録音は禁止。詳しくはこちら

最近読んだ本のご紹介。
▽恩田陸『ブラザー・サン シスター・ムーン』(河出書房新社) 第一部は恩田さんの自叙伝みたい。ドラマティックでもなんでもない、どってことない学生生活。でもそれが、かけがえないものだったりするんだよね。その「なんでもない」ところをすくい上げて小説にしちゃうのが、恩田さんは上手いなあ。
▽石田千『店じまい』(白水社) 朝日新聞の書評で目に留まった一冊。やたらとひらがなが多かったり、ところどころ文法がほころびてたり。でも読み進めるうち、淡々と短い文章にすっかり馴染んでしまいました。27篇ものエッセイが「店を閉じる」という共通のテーマで書かれているのに、ちっとも暗くならないし飽きも来ない、なかなかのセンスじゃないかな。古風な内容と著者名から年配の男性の書いたものと思って読んでいたら、私より年下の女性だと途中で判明。ちょっとびっくり。
▽初野晴『1/2の騎士』(講談社ノベルス) 初野さんのデビュー作は綾辻さんの推薦帯付きで、買ってあるんだけどまだ読んでなくって。二作目も青猫さんがすごくお薦めしてたんで、いずれちゃんと読みます。昨年立て続けに二冊刊行され、いずれも評判良さげだったので、まずこれを読んでみました。
 幽霊にレズに障害者に喘息、どたばたコメディーにマイノリティーの悲哀‥、いくらなんでも盛り込みすぎではなかろうか(笑)。でも、各章におけるボスキャラの設定は上手いし、背景の社会性をきっちり書き込んでいるところが実にいいと思いました。「なるほど、これがこうつながるのか!」といったストーリー構成も良かったな。
▽三崎亜記『廃墟建築士』(集英社) 私の今回のイチオシはこれ。出発点はとんでもない奇想なのに、読み終えたときには、我々の存在する「日常」という名の箱と、確実につながっている普遍的な物語だと分かるのよね(例えば制度であったり、人の感情であったり)。思いつきの域をはるかに超えた、鮮やかな情景をいくつも見させてもらいました。感服。
 相変わらず装丁が、カバーの紙質からして凝っているんだけど、これ、本屋の店頭に並んでると意外と目立たないのよね、ちょっと残念。

    

2月19日 

三省堂成城店と丸善本店に、道尾秀介さんのサイン本があるようですよ(道尾秀介@あらびき双生児)。『向日葵の咲かない夏』の文庫には「このミス第1位(作家別)」の帯がついているんですね。

2月20日 手ぬぐい、送付して一週間経ったので、ご応募いただいた皆さんの手元に行き渡ったかな。

楽天ブックスから「お客様へオススメする商品を集めました」というメールが届きました。面白いのは、直接その商品をクリックしたことのないものばかり集められていること。私の閲覧履歴から判断してるんだろうけど、どういう仕組みになっているんだろうね。ちなみにその商品とは、
『ゾラ・一撃・さようなら』森博嗣(森さんの新刊を最後に買ったのは『スカイ・イクリプス』だったような)
『タイムマシンのつくり方改訂新版』広瀬正(たしかに『マイナス・ゼロ』は買いましたが)
『モダンタイムス特別版』伊坂幸太郎(伊坂さんは文庫しか買ってないや)
『消えた山高帽子』翔田寛(未読の作家さんです)
『EXILE BALLAD BEST』(なぜ???)
『スタジオジブリの歌』(一瞬買おうかとお店で手に取ったことはあるけど、ネット上では一切見てないのに)
『黒神 The Animation 1』(これも見てないけど理由はわかります、とある声優さんつながりだ(笑))
『西の魔女が死んだ』(映画は見てません、原作は持ってたかも)

2月21日 

本格ミステリ作家クラブHPで書かれていた「コロンボ」は、このためでしたか。NHKウィークリー ステラの2月25日発売号(2/28〜3/6号)に、「特別対談 北村薫×綾辻行人 〈刑事コロンボ〉を語る」という記事が載ります、お楽しみに!
コロンボといえば、犯人が毎回男性で、女性は妻とか愛人とか秘書とかの添え物なのがちと不満。

手ぬぐい企画。全員に配り終え、メールの返信もようやく終わり、ほっと一段落。あ、手ぬぐい画像はこちらで見られます
りほさんが「「囁きの殺人」とか「形人方程式」とか「殺人の眼球」とか、新たなタイトルになりそうなものはないかを考えだしたら、これが結構ハマる」と、新しい遊びを考え出してくださいました。早速私もやってみよう(笑)。
「リク荘事件」(「りら荘事件」の親戚?)
「風色時計館」(めるへん)
「四十路の殺人」(社会派でしょうか。地味〜な、スルメみたいな)
「水球鬼」(スポーツノンフィクション)
「ちんどん」(‥‥?)

2月22日 にゃんにゃんにゃん、猫の日。

2月23日 

アカデミー賞の結果は、深川さんの日記の速報で知るのが、ここ何年かの常となっています。日本映画が二部門で受賞したんですね、すごい! 「おくりびと」は私も観ましたが、日本の良さを伝えてくれるいい映画だと思います。納棺師を演ずるモッくんの所作が、惚れ惚れ見とれるほどに素晴らしい。脇を固める山崎努や余貴美子も、さすがの貫禄で良かったなあ。主人公の奥さんの描き方がいかにもステレオタイプで浅くて、その部分は私は気に入らなかったんだけど、でも、日本のアカデミー賞でも各賞独占でしたものね。受賞、おめでとうございます。

2月24日 

現在発売中の「文藝春秋」「オール讀物」に芥川賞・直木賞の選評が掲載されています。誰とは書きませんが、「候補作を順に読むと、一番最後に読んだものがいちばん印象が強く、最初に読んだものはすでに忘れている」と。読んだ順で評価されちゃあ、書いたほうはたまらんのじゃないのかい(笑)。しかもその読んだ順を作品名を具体的に並べて暴露しているという、天然っちゅーか何と云うか、メッタ斬りコンビのお二人、ぜひそこんところツッこんでね(笑)。

2月25日 

NHKステラ2/28〜3/6号に、「特別対談 北村薫×綾辻行人 刑事コロンボを語る」が掲載されています。カラー4ページ、色紙プレゼントもありますよ。こんなところにまで阪神の話が出てくるとは(笑)。

2月26日 映画「チェンジリング」、感想書くのに2日もかかってしまいました。ふう。

最近読んだ本をご紹介。
▽浅暮三文『10センチの空』(徳間書店)。これ、刊行された当初からずっと気になっていた一冊。実は私も、10センチほど空が飛べるんですよ‥といっても夢の中だけですけど(笑)。ほんの少しだけ浮き上がって滑空する夢を、子どもの頃から時おり見るので、主人公の体感が手に取るように分かりました。空高くは飛べないんだよね、地面の上をすーっと滑るように進んでいく、でもとても気持ちいいんですよー。で、本のほうはというと、心が軽くなる魔法のような小説でした。えっと、蛇足ついでにもうひとつ。本作がミステリだったら、主人公はこの能力を実に有効に活用できるのではないかと。ほれ、「足跡を残さずに移動できる」(笑)。『雪密室』とか『スウェーデン館の謎』とか‥。
▽乙一・新津保建秀『GOTH モリノヨル』(角川書店)。『GOTH』が時を経て、一片の遜色も見せずによみがえりました。あたかも作中に出てくるロザリア・ロンバルドの死体のように。研ぎ澄まされた文章、ブレないキャラ、奇妙な可笑しさすらほのかにただよわせ、やっぱり乙一くんは凄いやー。ただ写真はなあ‥。同じような写真が何枚も何枚も、なのに見たい写真は一枚もないという感じで、正直退屈でした、すんません。
▽湊かなえ『少女』(早川書房)。人の醜い部分ばかりを抽出したような描き方は、ある意味痛快ですらあり、ページをめくる手を止めさせません。テレビドラマっぽいというか、正直人物の厚みはあんまり感じないんだけど‥と思ったら意外な展開になり、そうかそこへつながるのか! してやられました。「泣ける本」とか「癒されたい」とか、甘っちょろ〜い気持ちだけで本と接してる人にぜひ、読ませてやりたいね(私も相当、性悪です(笑))。
▽ジェイムズ・パウエル『道化の町』(河出書房新社)。第2回世界バカミス・アワード候補作の中で一番心惹かれた本書。短篇集です。翻訳ものは読みにくいなあと四苦八苦しつつも、トンデモ設定からさらに予期せぬ結末へ行く話、意外と真面目にミステリしている話などなど、楽しませてもらいました。特に心に残ったのは、「最近のニュース」ラスト一行の意味を良く考えると、戦慄。/「アルトドルフ症候群」よくできた犯人当て。てゆーか、手がかりがこんなにハッキリ示されていたのに読み飛ばした自分のアホ!/「道化の町」マイムの死因に爆笑。
▽でもって、今回のイチオシはこれ。初野晴『退出ゲーム』(角川書店)。これまた短篇集。表題作が推理作家協会賞の候補に挙がっていたので、大いに期待して読んでみたら、うわあ。特に表題作と最後の一篇に感心させられました。本格ミステリ(といっても、この本の場合は手がかりがすべて読者に与えられるわけではないんだけど、それはともかく)ってとかく、閉じた空間の中で細かいところをつつくような物語になりがちなのに、これは学校という舞台を軽々と越え、海の向こうまで行ってしまって。ドタバタも相変わらず面白いし、一方で社会性も充分にあり。ま、著者が意図したであろうことを100%読者に伝えるには、もちょっと文章や構成に工夫がいるかもしれないけど、とにかく堪能させてもらいました。
     

2月27日 

みぞれ降りしきる寒い日でしたが、がむばって上京。まずは有隣堂ヨドバシAKIBA店(駅から近くて良かった〜)にて「清水玲子「秘密」原画展」。本屋さんの一角にちょこっと、展示数も二十点弱でしたけど、繊細な絵柄と流麗な描線に釘付け。あー、カメラも携帯も持っていかなかったのは大失敗。でも、新刊『秘密(6)』に加えてケロロの図書カードも買えて、よかったよかった。
それから有楽町に移動して、スパンアートギャラリーの「異端の遊戯展 黒木こずえ・児嶋都・成田朱希・丸尾末広」。黒木こずえさんはご本人もいらしてました。鉛筆で繊細に描かれた少女画に、ほんのりピンクやうすい水色の着色がかわいい。成田朱希さんは大きな油絵が迫力。深い黒色と赤色が印象的でした、エロい絵も多かったけど(汗)。丸尾末広さんは、そんなにアヤシイ絵は今回なかったけど、近くで見ると、描線のなんと綺麗なこと。『帝都物語』のモノクロ挿絵、白と黒のコントラストが絶妙で、良かったなあ。児嶋都さんは、『眼球綺譚』の表紙画をはじめとする小さめの油彩画やアクリル画が多かったです。「ダ・ヴィンチ」のミステリーページの扉絵に使われていた絵、綾辻さんの似顔絵も入ってて、わあこれいいなあ、でも残念ながらすでに売約済。展覧会の案内状にあった「有刺鉄線」という絵は、色遣いがとてもキレイで好きでした。でもって、画廊の奥にクリアファイルが二冊あって、そこには「伊園家の崩壊」や「崩壊の前日」挿絵の生原稿も!わあ! この展覧会は明日が最終日なので、お近くの方はぜひぜひ〜。

2月28日 二月は逃げる!三月は去る!ぎゃー。

ありがとう100年 講談社オリジナル図書カードプレゼント。総額100万円(!)、毎週100名に一万円分の図書カードが当たります。講談社、太っ腹! 業績は過去最大の赤字幅だったそうですが‥。

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