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 Ayalist 2010年5月の日記(後半) 

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5月16日 ちゃんとした(?)レポは近々書きますが、まず簡単に昨日の話を。随時更新していきましょう。

今年の「一般読者招待枠」は、土曜開催だったため、今まで以上に倍率が高かったそうです。文庫の帯には10名と書いてありましたが、実際は12〜3名いたような。会議室のような場所にテーブルと椅子が並べてありまして、前から順に我々の氏名を書いた紙が置いてあり、そこに座るというシステムでした。

おそらく多くの方が気になっていると思う、投票者内訳を書いておきましょう(敬称略)。ざっとメモしたものなので、間違いがあったらゴメンね。ちなみに、綾辻さんご自身は投票なし。会場にもいらしてなかったし(別の部屋で待ってたのかなあ、それとも京都に?)、重い思いをして持っていった『Another』にサインはいただけず、しかも結果は一票差で大賞に届かずという‥いやあ、決まった瞬間、残念すぎて思わず涙ぐんじゃいましたよ私は。

『Another』(15票)青井夏海 有栖川有栖 奥田哲也 倉阪鬼一郎 黒田研二 剣持鷹士 小島正樹 柴田よしき 鷹城宏 辻村深月 千澤のり子 西澤保彦 汀こるもの 山沢晴雄 横井司
『追想五断章』(7票)円堂都司昭 喜国雅彦 白峰良介 直塚和紀 夏来健次 ひらいたかこ 森谷明子
『花窗玻璃』(8票)加賀美雅之 近藤史恵 千街晶之 つずみ綾 法月綸太郎 藤岡真 諸岡卓真 山口芳宏
『密室殺人ゲーム2.0』(16票)麻生荘太郎 大森滋樹 鯨統一郎 倉知淳 獅子宮敏彦 神命明 柄刀一 鳥飼否宇 伯方雪日 東川篤哉 氷川透 廣澤吉泰 松本寛大 村瀬継弥 門前典之 依井貴裕
『水魑の如き沈むもの』(16票)芦辺拓 乾くるみ 歌野晶午 太田忠司 霞流一 佳多山大地 川井賢二 川出正樹 北村薫 小森健太朗 篠田真由美 杉江松恋 辻真先 波多野健 光原百合 村上貴史

評論・研究部門
『アジア本格リーグ』(4票)乾くるみ 北村薫 波多野健 横井司
『英文学の地下水脈』(10票)太田忠司 大森滋樹 鯨統一郎 近藤史恵 杉江松恋 つずみ綾 蔓葉信博 戸川安宣 村瀬継弥 依井貴裕
『戦前戦後異端文学論』(11票)芦辺拓 川井賢二 川出正樹 末國善己 千街晶之 鷹城宏 辻真先 西澤保彦 廣澤吉泰 光原百合 諸岡卓真
『都筑道夫ポケミス全解説』(1票)法月綸太郎
『ミステリ・ジョッキー2』(3票)氷川透 村上貴史 山沢晴雄

投票者65名。現在の会員数がおそらく146名(正確なデータなし)なんで、投票率は44%ぐらい。続きはまた後ほど。

背景は「光る馬車」です。きらめきの効果がまだ上手く使えない‥。

5月16日(その2) 開票式即席レポ、その1。

前のテーブルには、左側から、北村薫さん(ニコニコとくつろいだ雰囲気でした)、東川篤哉さん(名札が遠くて見えなかったので、最初のうちは「あのチェックのシャツの細身の眼鏡の方は、どなたろう?」と)、太田忠司さん(結果を候補者に連絡する係で、でも受賞者には編集さんが連絡し、太田さんはそれ以外の方へ「残念ですが‥」と電話を。心が折れたそうです。という話がここここに)、黒田研二さん(北村さんと違って、会長の辻さんの隣でめっちゃ固まってました。普段のてかてか明るい雰囲気はどこへ)、会長の辻真先さん、事務局長の戸川安宣さん。横や後ろで、投票用紙を渡したり集計したりの係が、末國善己さん、法月綸太郎さん、円堂都司昭さん、柴田よしきさん、大倉崇裕さん。以上が、直接開票に携わっていた面々。他の執行会議メンバーは、石持浅海さんはいらしてなかったような。綾辻さんはいらっしゃらず。芦辺拓さんは、会場をあっちへこっちへちょこちょこ歩いて回っていましたが、開票の時は客席側に。有栖川有栖さんも客席側。作家さんは、道尾秀介さん、霧舎巧さん、山口芳宏さん(なんと私の隣に! よくしゃべるすっごく明るい方でした)は気づいたけど、あとは出版社関係の方々に紛れてて分からなかったなあ。歌野晶午さんと谷口基さんは、受賞が決まってから会場へ。米澤穂信さんは探したけど分かりませんでした。深水黎一郎はお顔を知らないので探しようがなく。三津田信三さんは欠席で、記者会見の時は原書房の石毛さんがコメントを読み上げていました。(つづく)

5月16日(その3) 開票式即席レポ、その2。

事前に、戸川さんが式の進行を説明。まず、選評が200字以上あるかをチェックし、辻会長が投票者と推薦作を読み上げ、その結果がリアルタイムで棒グラフになって、正面にプロジェクターで映し出されます。
開票作業が終わっても、候補者に連絡を取って最終的に末國さんが受賞作を発表するまでは、ツイッターその他で情報を外に出さないように、撮影・録音はOKだが、これも外に向けては発信しないように、 とのことでした。
なお、これはあとから聞いた話ですが、今回のように二作品が同票だった場合は、二作同時受賞。三作品が同票だった場合は、その作品に投票しなかった人たちに電話をし、三作品のうちひとつを選んでもらい、集計するんだそうです。なのでそうなった場合は、開票式当日には受賞作が決まらない、ということになります。
午後四時、開票開始。チェックの終わった投票用紙が順次辻会長のところに回っていきます。小説・評論両部門に投票した人の用紙は二つに切り離されます。途中で辻さん、思わず本音がポロリ。「僕も後ろ(の映し出されている結果)が見たいなあ」(笑)。でも、見てると読むほうがお留守になっちゃうから、と粛々と仕事を続けておられました(そういえば、四年前の綾辻さんは、堂々と途中振り返って見てましたね(笑))。「選評、読みたいなあ」ともおっしゃってましたね、分かりますそのお気持ち(^^)。ところで辻さん、名前の云い間違いがほとんどありませんでした。若い作家さん・評論家さんの名前をきちんと把握してるんだなあと、感心。
評論・研究部門は、最初に『戦前戦後〜』が抜け出し、あとから『英文学〜』がじわじわと追い上げる格好に。小説部門は結果からも分かるようにかなりの混戦で、最初『水魑〜』に集まり、『Another』が抜き返し、『密室殺人〜』はじわじわと票を伸ばして、終わってみれば『水魑〜』と『密室殺人〜』が並んでいた、と。『Another』は一票差! あああ、ほんとに惜しかったなあ(と云いつつ、自分が参加した政宗さんの企画のほうでは‥おっと、結果は今日のうちに発表になるそうなので、お楽しみに。票の内訳は、実は昨日聞いてしまったのでした。ええ、二人だけ?とmihoroさんびっくり。)

5月16日(その4) 開票式即席レポ、その3。

へえ、こんなこともやっているんだとびっくりしたのが、「海外優秀本格ミステリ顕彰の最優秀作決定」。本格ミステリ作家クラブでは設立10周年の記念事業として、クラブ設立の2000年から昨年2009年までの10年間に翻訳されたミステリの中から最優秀作を決めることに。まずは昨年末に会員からアンケートで候補作を募り、会員全体からの投票ではなく選考委員を立てて決める方式をとりました。選考委員は川出正樹さん、戸川安宣さん、法月綸太郎さん、横井司さん。候補に挙がった作品は、次の17作。
『ウォッチメイカー』『オックスフォード連続殺人』『女占い師はなぜ死んでゆく』『暗く聖なる夜』『黒衣のダリア』『サム・ホーソーンの事件簿』『証拠は眠る』『ジャンピング・ジェニイ』『ストップ・プレス』『騙し絵の檻』『デス・コレクターズ』『ドン・イシドロ・パロディ』『蛇の形』『魔術師』『夜の記憶』『ルルージュ事件』『わが心臓の痛み』
ここから6作『ウォッチメイカー』『女占い師はなぜ死んでゆく』『デス・コレクターズ』『蛇の形』『夜の記憶』『わが心臓の痛み』に絞られ、最終的に『デス・コレクターズ』に決定。なんと、著者のジャック・カーリイご本人から届いたメッセージが読み上げられ、会場がどよめきました。詳しくは、6月15日発売の「ジャーロ」に載るそうなので、そちらを読んでいただきましょう。芭蕉、一茶、蕪村がここで出てくるとは(笑)。
  ジャック・カーリイ著/三角和代 訳『デス・コレクターズ』(文春文庫)

5月16日(その5) 開票式即席レポ、その4。

たいへんだ、円堂さんにツイッターで紹介されてしまった。こちらは暫定版で、後ほどちゃんとしたレポを書きますので、ご容赦を〜。あとはえっと、受賞者の記者会見のことを書きます。

記者会見は五時半から(少し開始が遅れました。その理由は後ほど)。それまでの約一時間は、サイン会タイム! でも、すべての方が名札を付けてるわけじゃないし、皆さんたいてい、出版社の方々も交えて談笑していらっしゃるので、なかなかそこに割り込んで「サインください!」と云うのは、勇気がいります。それでも、何冊もの本を持って、あちらこちらと回っていた人もいました。私は、残念ながら綾辻さんがいらっしゃらなかったので、『Another』はカバンに入ったまま出番なく終わってしまいましたが、太田忠司さんに、『星町の物語』にサインをいただきました。うれしい〜〜。ご本人の前で「すっっごく面白かったです!」と力説してきました。
しばらくして、まずは歌野さんが到着。会場、拍手。受賞の言葉は記者会見のときにということで、いきなりファンに囲まれサイン会になっていました。

それから、青山ブックセンターの方がいらしていて、受賞記念トークショーの告知をしていました。
日時:6月20日(日)13:00〜 場所:青山ブックセンター本店
出席者:歌野晶午さん、三津田信三さん、谷口基さん、辻真先さん、北村薫さん、芦辺拓さん、戸川安宣さん。
申込受付は5月20日から(たぶん)。先着120名です。HPはこちら。そして記者会見は(まだ続きます)。

5月16日(その6) 開票式即席レポ、その5。

記者会見です。正面のテーブルに、向かって左から司会の末國さん、評論・研究部門受賞の谷口さん、小説部門受賞の歌野さん、欠席の三津田さんの代わりに編集の石毛さんが座られました。以下、ざっとかいつまんでご紹介します。
歌野:このたびはありがとうございました。実は、本格ミステリ大賞は一回受賞していて、候補になるのは三度目です。『密室殺人ゲーム王手飛車取り』のときは、得票数が最下位でちょっとヘコんで(第8回、『女王国の城』のときですね)、二回目の大賞を獲るのは相当難しいんだと思いました。なので今回も、候補になっただけで良かったというか、受賞は全く考えていなかったので、嬉しいというよりはうろたえています。
石毛:(三津田さんのコメントを代読)受賞をとても嬉しく思います。究極の本格、歌野さんと同時に受賞できたことが一番嬉しいです。
谷口:(とても綺麗な日本語を話される方で、そのあたりは後ほどレポで再現を試みます。とりあえずは内容を)賞をいただき、とても驚いています。どのくらい驚いたかというと、お電話をいただいてこちらへ駆けつける際に、二回も電車を乗り間違えてしまったほどで、私のせいで記者会見の始まりが遅れたこと、幾重にもお詫びします。本の内容が、本格というよりは変格ミステリのことを書いているのにこのような名誉ある賞をいただけて、意外でしたがとても嬉しいです。北村薫さんが「よい評論は本格である」とおっしゃっておられたとおり、対象は変格でも心は本格と思っております。ありがとうございました。

このあと、質疑応答へ(続く)。

5月16日(その7) 開票式即席レポ、その6。

質疑応答。最初はなかなか手が挙がりませんでしたが、最初の質問は芦辺さんから。
芦辺:(谷口さんへ)私は小学校から中学校の頃、異端文学の大ブームがあって、そのあと横溝正史の文庫ブームが来た、そういう世代なんですが、谷口さんは私よりもお若いのに(芦辺さんは33年生まれ、谷口さんは39年生まれだそうです)、こうした探偵小説と出会われたのは、どのような読書体験をされてきたのでしょうか。 谷口:町の古本屋で、当時はまだ「新青年」が数百円で売っていまして、そうしたものを読んで、ロマンへの憧れをかき立てられました。

次は辻会長から。辻:(歌野さんへ)正編に優る続編なし、と映画の世界なんかではよく云われるんですが、今回こうして続きを書かれたのは、これを書きたいという気持ちが強かったからなんでしょうか。それとも注文があったから?  歌野:もともとこの作品は三部構成で、二〜三千枚のものすごく長い作品なんです。あまりに長いので、とりあえず第一部を『密室殺人ゲーム王手飛車取り』として一冊出したんですが、内容がハードなんで力つきちゃって、続きはもう書かなくてもいいかな〜と投げやりな気持ちに。でも構想はあったんで、何年か別の仕事をしながら徐々に気持ちが切り替わって、続けて頑張ってみようかと。なので、『密室殺人ゲーム2.0』の先の構想もあります。ただ今は、『2.0』で疲れてしまったので、次のことはすぐにはできませんが、いずれ続きを書くかもしれません。

(会場から歌野さんへ)本格ミステリ大賞はプロが投票する賞で、その意味はとても大きいと思います。二度の大賞受賞は、プロが二度も評価したということで、そのことについてはいかがでしょうか。  歌野:光栄に思っています。他に類を見ない賞で、選者も特殊ですし、すごく認められたという感が強いです。二度目は特にハードルが高いと思います。今回もほとんど無理だろうと思っていたので、高く評価していただいて嬉しいです。この作品は書くのがしんどくて、書いててボロボロになったんですけど、書いてよかったと思いました。
(会場から)書くしんどさ、というのはどういうあたりがでしょうか。  歌野:登場人物が簡単に人を殺すようなやつばかりで、そういうやつらに気持ちを同化して書いていると、日常生活において精神的にバランスを保つのがけっこうしんどくなるんですね。あとは、この作品は連作なんですけど、ひとつひとつの短篇にトリックがあってオチがあって、長篇にできそうなネタをかなり使い捨てている、コストパフォーマンスが低くてもったいないなあというのも、しんどい理由のひとつです。また、場面が室内ばかりで、たまに外へ出て聞き込みしたりもしますけど、ほとんど場面が動かないといかに読ませるか工夫が必要なので、書いてる間は苦しくて、書き終わった時は「もう書きたくない」という思いでした。なので、『王手飛車取り』から『2.0』まで何年か間があいてしまいました。(まだもうちょっと続きます、次が最後かな)

5月17日 開票式即席レポ、その7。これで最後。

(会場から歌野さんへ)『水魑〜』に投票していらっしゃいましたが、自作が候補になっているのに、何故投票を?  歌野:せっかくの会員の投票権ですし、もともとあまり投票率が高くないところへ、候補になったから投票をしないとなると、ますます投票率が落ちてしまいます。なので、自作が候補になっていても必ず投票するようにしています。自分の作品を客観的に評価するのは無理なことで、でも本当に良いと思ったら自分のに投票してやろうという気持ちもちょっとはありますが。今回は、三津田さんの作品が一番優れていると思いました。今までに何回も候補になっていますが、毎回質の高い驚きを与えてくれる、濃くてサービス精神旺盛の作品です。よくこれだけアイディアを詰め込むなあと感心するし、刺激を受けます。マニアの間ではとっくに評判になっていましたが、今回賞を獲られたことは、一読者としても嬉しいです。

客席側にいた北村さんが手を挙げて。北村:(石毛さんへ)こういう場で編集者にお訊きするのは異例のことだとは思いますが、三津田さんのシリーズは、独特の器を持った本格で、何回も候補になっています。作家にとって編集者の存在は大きいと思いますが、三津田さんとの馴れ初めや、並走者としての今までのエピソードなどお聞かせいただきたいと思います。  石毛:最初は、柴田よしきさんが「イキのいい作家がいる」と紹介していただいた時で、今から五、六年前の話になります。実は、発売になったばかりの講談社の「IN・POCKET」の座談会にその辺りの話が載っています。今回の受賞作、シリーズの一番最初は『厭魅の如き憑くもの』で、蘊蓄がこれでもかと出てきて、正直読み辛かったんですね。「ここは削ったほうが」と三津田さんに渡して、戻ってきた原稿を見たらちっとも削ってなくて、「ははあ、ここは引けないところなのか」と思ったり。『厭魅』から比べると『水魑』は、エンターテインメント性が格段に高くなっています。文章も易しすぎるぐらいで、これはシリーズを続けてきた三津田さんなりに読者へのアピールを考えた結果なんだろうと。それから、このシリーズを語る上ではずせないのが、村田修さんのイラストです。日本画っぽい、平面を重ねたような絵がいいなと思って、厭魅の最初の絵を描いてもらったら、世界観がぴったりとマッチしていて、よしこれで行こうと。読者からも好評で、シリーズがこれで固まった感がありました。このカップリングが実現できたことも良かったです。(なにっ、村田さんって津原泰水さんの弟さんなの!? 今、村田さんのHP見て初めて知りました)

最後に、有栖川さんから質問。客席側から、ものすごーく自由な感じで質問されてました。有栖川:(まずは谷口さんへ)受賞作は変格推理小説を扱っていて、たとえば横溝正史でも、本格から外れた作品が取り上げられていて、そういうものを論じた本が本格ミステリ大賞を受賞してしまうというのも、なかなか面白いところだと思いますが、論じる手法は本格っぽいんですよね。谷口さんは今後、本格を論じてみたいという、そういう思いはあるのでしょうか、もちろん強要するわけではありませんが。  谷口:これからの課題にさせていただきたいと思います。ただ、私の考えている本格は世間とちょっとズレているような気もしていますので、喜んでくださるものが書けるよう、味付けをしてやってみたいと思います。
有栖川:(歌野さんへ)これは質問ではないんですが、歌野さんは複数回候補になっていて、大賞を二回獲る人はなかなか出ないだろうと思っていたら、獲ってしまった。しかも、自分は他人の作品に投票している。カッコ良すぎるんですよね。あとできることといったらもう、今度候補になったとき、自分に投票する、これしかないのではないかと。歌野さんだったら似合うと思うんですよね。  歌野:実は前回、自分に投票しようかと思ったんですが、勇気がなくてできなかったです。  有栖川:次回はぜひ。頑張ってください。(会場、大笑い)

5月17日(その2) 

インターネットで選ぶ本格ミステリ大賞2010、発表! ふうむ、いろいろ感想もあるのですが、昨日の怒濤の更新で力つきたので、また改めて。ぜい。

5月18日 

第23回山本周五郎賞、決定。貫井徳郎さん『後悔と真実の色』、『光媒の花』道尾秀介さん。貫井「今回はバリバリのミステリを書いて推理作家協会賞をとってやろうという意気込みだったので、この作品で山本周五郎賞をいただいたことはたいへん意外。(立て続けの受賞について)18年やってきてなんで急に? 前にもいいの書いてきたのにな(笑)という気持ちもありますが、素直にうれしい」道尾「(受賞の第一報について)電話をくれた新潮社の方が、たいへん悲愴な声を出す人で(笑)第一声が『実は……』だったので、あれ?と思ったんですが、『光媒の花』と同じく、一回落とされたあとで光を浴びるとさらにまぶしく見える。うれしかったです」(大森望さんのツイートより)

5月19日 掲示板に書きましたが、第10回本格ミステリ大賞受賞記念トークショー、明日20日より受付開始です。“芦田拓”って‥字、間違ってますよー。

「飴村行さんと、粘膜トーク」‥ってどんな題名じゃい(笑)。5月27日(木)19:00から、青山ブックセンター六本木店にて。こちらも明日20日より受付開始です。

有栖川有栖『闇の喇叭』特設サイト。これからも徐々に更新されるようです。

昨日、新聞開いたら蝦蟇倉市の地図が載ってて、思わず「おおっ」と。ペンネーム、舞台を共有 独立性こだわらない作家たち(18日付、読売新聞)。『魔界探偵冥王星O』は知らなかったや。

第10回本格ミステリ大賞決定!(WEB本の雑誌)。「本格ミステリのジャンルに含まれる作品か否かという論争が予選委員の間で起こり、クラブ員の投票に判断が委ねられたことで注目を集めた綾辻行人『Another』(角川書店)は、1票差で及ばず次点となった。」その辺り詳しく知りたくても、本格ミステリ作家クラブ会報の更新が2年間ないから分からないのよね。よろしくお願いしますよ、くろけんさーん。

5月20日 

TRICK×LOGIC、公式サイトが更新されました。といっても「作家陣紹介」に綾辻さんの名前はまだ出てこない‥(かすかに「Yの標的」の文字が見えるような気も)。

「紙か電子かと幼稚な議論する場合ではない」京極夏彦氏が電子書籍を語る。今後の動向を見守っていきたいと思います。

5月21日 来月15日発売の「ジャーロ」には、本格ミステリ大賞の選評が載ります。

で。先日の公開開票式などを受けて、思ったことをちょこっと。
・自作が候補に挙がっていても投票するのは歌野さんの常。でももし棄権していたら、今回は『密室殺人ゲーム2.0』が単独受賞だったという。うわあ、ドラマやなあ。二作受賞はとてもいい結果だったと思ってます。
・有栖川さんは『Another』だったのかあ、ちょっと意外。
・あれ、二階堂さんが投票してないよ。なんで? ご本人の日記にも、なぜか今年は本格ミステリ大賞の話題が全く出てこないし。なんでなんで??
・今回は、投票者が60人を超えました。会員数の5割にも満たないんだけど、それでも今までで一番多い投票数だったんじゃないかな。もっともっと増えるといいですね。ああ、新人の作家さんがけっこう会員になっているので、それも影響しているのかな。
・あれ、戸川さんは小説部門に投票していないみたい。
・辻村さんは『Another』でしたねやっぱり。辻村さんは、年齢は私よりはるかに若いけど、綾辻歴は私より長い先輩なので、つい意識してしまいます。自分は、政宗さんとこの投票で『Another』に投票しなかったから、ううむ、もろもろ複雑な気分。
・あれー、政宗さんとこの投票、五作読み終わったって云ってたあの人やあの人や、投票してないじゃん。なんだーものすごくがっかり。
・遅ればせながら、インターネットで選ぶ本格ミステリ大賞2010、『Another』受賞、おめでとうございます綾辻さん!

5月22日 ちょっともろもろ忙しくなっちゃったんで、頑張って片付けて戻ってきます。えい!

5月23日 忙しい‥とか云いつつ、ツイッターを読んでるだけでどんどん時間が過ぎていく〜。

5月24日 忙しい‥とか云いつつ、mixiの「ビジュエルド・ブリッツ」にハマる。これ、我孫子さんもよくやってるみたい。

5月25日 

山本賞の貫井徳郎さん、道尾秀介さん 意図と評価興味深いズレ(読売新聞)。
「スコーレNo.4」書店員「つぶやき」でいきなり増刷(読売新聞)。
角川書店モニター募集、第2回の作品は米澤穂信さん『ふたりの距離の概算』。詳細は近日発表。

5月26日 

森見登美彦さん『ペンギン・ハイウェイ』刊行記念トークショーの模様。写真もあり。ツイッターのログなんで、流れていっちゃわないうちに、どうぞ。
一方、ワセミスでは今日、麻耶雄嵩さんを招いての読書会が行われたようです。え、麻耶さんは今年新刊が二冊も出るの?(『貴族探偵』が発売中、『隻眼の少女(仮)』は9月らしい)

うちの近隣の書店を10店近く回ってみましたが、昨日ご紹介した「本屋さん秘密結社」による『スコーレNo.4』フェアは全く行われておらず、がっかり。どうせなら、フェアの帯を巻いた本を地元の本屋で買いたいんだけど、無理かなあ。

『ヴィーナスの命題』7月に文庫化、ほええっ。単行本が出てから10年近く経ってます。綾辻さんイチオシの作品だったんですよね。真木武志さんの二作目はもう出ないのかなあ。

『MM9』ドラマ化。お、なにげに気になってた本ですこれ。原作は来月文庫になるのね、よしよし。

5月27日 映画「パーマネント野ばら」、今まで観たサイバラ映画の中で一番よかったなあ。

去る日曜は、小説推理新人賞の選考会で京都に行ってきました。綾辻行人さん、有栖川有栖さん、光原百合さんによる最後の選考。最終候補作5作は、いずれも各氏高評価。そのうち第32回の新人賞に輝いたのは……来月27日発売の小説推理8月号でお確かめください。(@shousetsusuiri) 賞の選考会というと、出版社のある東京で行われるものなのかと思っていましたが、選考委員が三人とも西の方々だと、出版社のほうが来てくれるんですね。

でもって今日は、というわけで今から京都へ向かいます。近畿ブロック代表・綾辻行人さんに、『全国魔界地図(仮)』の取材です。(雅)(@kwaidan_yoo) これは「幽」に載るのか、それとも本が出るのか。あ、後者でした

5月28日 『粘膜館の殺人』って(爆笑)。

航海日誌経由で知りました、道尾秀介さん『プロムナード』刊行記念サイン会。もしかして初サイン会?(本ミス大賞を獲った時はやってたけど) 
6月20日(日)16:30〜18:00、有隣堂 ルミネ横浜店にて。詳細はこちら。ありゃ、本ミス大賞トークショーと同じ日だよ。先着50名って少なすぎるでしょ(追記:あ、トークショーもやるのか、それじゃしょうがないですね)。米澤さんは行くのかしら(笑)。

5月29日 リブロの100冊。『十角館の殺人』が選ばれています(^^)。

ツイッターでベストセラー(読売新聞・広島)。26日の日記に書いたように、うちの近所の本屋さんには、この『スコーレNo.4』の波は全く来ておりません。在庫なしで入荷が遅れてるわけでもなさそう(棚には、古い帯を巻かれた『スコーレNo.4』がこっそり一、二冊ささってたりするから)。栃木の書店員さん、ツイッターやってないんだろうなあ。まあ、全国の書店数って、減った減ったと云われつつも2007年の時点で17,000店はあるらしいから、「全国で300以上の書店が協力」の300に、うちの近所の本屋が含まれていなくても、ぜんぜん不思議じゃないんですがね。

今回の『スコーレNo.4』探索で気がついたこと。
ツイッターの普及率ってどのぐらいなの?まだまだ大したことなさそうな感じ。そして「ツイッター発」というおススメ文を読んで、「おっ、それなら読んでみよう」と本を手に取るのは、おそらく若い人だけだよね。私の周り(同年代の女性)なんか、携帯メールはできるけど、パソコンからきし、ネットもいまいちって人がほとんどだもんなあ。/ 手書きPOPを立ててるお店って、意外と少ないのね。立ってるのはほとんどが出版社が作ったと思しき印刷物で、どこのお店もみんな同じ。つまらないといえばつまらない。もっとも、売場面積の小さいお店では、平積みできる面積が限られているから、しょうがないか。/ 1店、手書きPOP立ちまくりのお店がありまして。なにしろここは、とあるPOPコンクールで一位になって、三崎亜記さんがサイン会に訪れたぐらいですから、実績あり。でも、POPが数多く乱立してると、ひとつひとつの印象が薄れてむしろ逆効果かも。POP数を半分にして、一週ずつ交代で出すとかしたらどうだろう。あと、色ヤケした古いPOPをいつまでも立てておくのはどうかと。/ 今後「本屋さん秘密結社」はどうなっていくのでしょうか。今はまだ仕掛けた本を売っていく段階でしょうが、さあ次はどうする。版元や著者が直接「今度はぜひ自分の本を」と売り込んできたら? ツイッターの登録者が今より増えたら、“船頭多くして船 山に登る” 状態にならないか?/ 新聞記事をよく読めば分かることだけど、そもそもが、ツイッター界隈で口コミ評判になってた本を取り上げた、という流れではないんだよね。ひとりすごく熱心なファンがいて、その人のツルの一声で対象本が決まっちゃったという感じ(詳しくはこちら)。「今まで売れてるのは外して」「版元もノーマークの本を」「重版と無縁だった作家を」「版元は毎回替えて」「文庫で」という縛りで選んでいくのかな。/ 私が「『星町の物語』をぜひ取り上げて〜!」とツイッターで叫んだところ、秘密結社の団長さんから「「仕掛け」というのは文庫でないと難しい側面もあるので」と云われてしまいました。でもちょっと待て。仕掛けると云っても、なにも何十冊単位で積み上げなくてもいいんじゃない? うちの近所の本屋さんレベルだと、東京創元社や原書房や理論社あたりの単行本は、一冊も入ってきません。入荷なし。もちろん注文すれば取り寄せてくれるけど、もう、売れる売れないの問題じゃないんですよ。入荷ゼロなんだもん、絶対売れない(笑)。だから、1店1冊でもいいからPOPを立てて売ってみる、そういうレベルでもいいんじゃないかなあ。/ 全国展開で仕掛けるとなると、どうしても「幅広い年代に受け入れられそうな」「読後感のいい」本が選ばれやすいのは、仕方ないか。自分としては、そういうの、今イチ乗れないんだけどね。

5月30日 なんかまたえらく涼しいんですけど。はくしゅん。

しまった、これ、応募し忘れたんだよねえ。なんと豪華なサイン色紙。『Anniversary50』の記念色紙(道尾秀介@あらびき双生児)。

昨日の日記に付け足し。「本屋大賞」の「発掘本」「オレ本大賞」とか、有隣堂の「私がおすすめする本たち [投稿集]」とか、あとは大きな書店のWEBサイト上とか、POP以外にも書店員さんがお薦め本を紹介している企画というのはたくさんあって。でも、せっかく本の名前が挙がっててもイマイチ販促につながっていない気がするなあ。情報が多すぎるんだろうか。もったいなく思います。

5月30日(その2) 

日本推理作家協会監修、『ミステリーの書き方』という本がついに出る。版元は幻冬舎。(頭蓋骨の裏側 5/30)。うっわー、これですよこれ(←全部ではないかもしれません、あしからず)。なんでこんなに単行本になるまで時間がかかっちゃったんだか。綾辻さんの回は「トリックの仕掛け方」、インタビュー記事でした。

5月31日 

麻耶雄嵩読書会に参加してきました(はてな使ったら負けだと思っている)。ネタばらしありのレポもあります。
「ボストン美術館展」と飴村行さんのサイン会(ミステリ読書録)。後半が、先日の「飴トーク」レポです。
北森鴻ミステリ私的ベスト5(やぶにらみの鳩時計@はてな)。自分の読書、本ミス大賞も終わったし、またこちらに戻ろかな。
啓文社 福屋ブックセンター店(めざせ!書店営業100店舗)。実際に見たいなあ、作家POP。近かったら絶対行くのに。
作家の直筆で思い出しました、これ、ネット上にちっとも情報上がってないんだけど(探し方が悪いのかな)、集英社文庫で「作家クロニクル」と銘打って、著者直筆の帯が巻かれていますよね。私が見つけたのは東野圭吾さん、石田衣良さん、唯川恵さん。帯の裏には「作家トリビア」なるQ&Aも。

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